きっと I get it! 君とまた手をつないだら
私が小学5年生の頃、実況パワフルプロ野球(以下、パワプロ)というゲームにとにかくハマっていました。
最初の方はただ無我夢中で楽しんでいたのですが、やがてそのゲームの中の「サクセス」モードで自分の納得できる能力の選手をなかなか作ることができず苦戦するようになり、ある日よりそのモードの攻略方法についてインターネットで探すこととなりました。
結果として個人運営の攻略サイトがヒットし、最初はそちらで提供されている攻略情報を毎日のように参考にするのみであったのですが、そのサイトにはパワプロのゲーム攻略とは一切無関係の「雑談掲示板」なる掲示板が設置されており、その掲示板が毎日賑わっていることにある日より気づきました。
最初はもうすでにある程度出来上がっている輪の中に入る勇気がなかったことや、住人のほとんどが中高生のため当時の私より年上の方が多く尻込みしてしまうところがあり、しばらくは閲覧専門だったのですが、ある日から「俺も一緒にワチャワチャさせてくれ!!!」という思いが抑えきれず、「はじめまして」のあいさつとともに「最近皆さんがハマっている番組はなんですか?ちなみに僕はアンビリーバボーを毎週楽しみに見ています」と質問をした内容のスレッドを立てました。
もしかしたら無視されるのではないかという恐怖もありましたが、ありがたいことに多くの方々から「はじめまして」の挨拶と好きな番組について書かれたレスポンスをいただくことができました(ちなみに「トリビアの泉」か「伊東家の食卓」という回答が多数でした)。
思えばインターネットで自ら発信をするという経験をしたのはこの時が初めてだったのだと思います。
その時の勇気と緊張と、レスポンスをいただいた時の喜びは、この先になってもずっと忘れないようにしたいものです。
以降は積極的に他の方が立てたスレッドに返信をしたり、また、自分でも度々スレッドを立てるようにしていました。
今思えば先述の私の初書き込みにしてもそうですが、どちらかと言えば「雑談」というよりは「一問一答」のような内容が多く、発展性という面で言えば大分乏しいものでした。
ですが、当時リアル小学校生活でクラスメートとの交流に少なからずの苦手意識を抱えていた私としては、多くの人と交流した(少なくともその気になれる)というだけでとても充実した時間でした。
書き込み回数が所定の数を超えると、自分のHNが入った自分専用のアイコンを管理人が作ってくれたので、それを目指してとにかく数多く書き込みをしようと頑張っていました。
ノルマの書き込み数を達成し、友沢亮というキャラクター(下画像右)のアイコンをベースにした専用アイコンをいただいた時の喜びは今でもしっかり覚えています。
「雑談掲示板」だけではなく、パワプロの特にサクセスモードの攻略情報について共有する「攻略掲示板」も設置されていました。*1
攻略掲示板の方では選手の育成理論であったり、投稿者が作った選手のパスワード公開が主といった感じでした。
有益になる情報も多く投稿されていましたが、天才型選手を引き当てかつダイジョーブ博士の手術を2,3回成功させるということを前提とした育成理論が当たり前のように投稿されていたり、プロアクションリプレイを使用しないと作ることはまず不可能であろう能力の選手のパスワードが多く投稿されていたりしたのも振り返れば良い思い出です。
やがて自分でもホームページを作りたくなり、HTMLを真面目に学んで個人運営の攻略サイトを立ち上げようとやる気になったこともありますが、私自身のセンスのなさもあり結局挫折し、当時の文明の利器であるホームページビルダーを持っていた管理人に嫉妬したのもきっと青春だったのだと思います。
そして今思えば、現在に至るまでずっと続くプログラミングに対する苦手意識は、この頃に醸成されたものなのかもしれません。
私が小学5年だった頃の秋からいたそのサイトですが、最終的には管理人が高校受験に専念するという理由で、私が中学1年だった頃の秋に閉鎖という形となりました。
いきなりの閉鎖ではなく閉鎖日は予告されていたため、閉鎖日が近づくにつれて掲示板では閉鎖を惜しむ声で最後は埋め尽くされていました。
私自身もその惜しむ声を発する人間の一人でした。
その後、管理人は無事に第一志望の高校に合格することができたのでしょうか。
また、その後の掲示板の住人達はどのようになったのでしょうか。
別の攻略サイトの掲示板に移動されたのか、それともこれを機に攻略サイトの掲示板への投稿自体をやめたのか。*2
結局のところはわかりませんが、彼らが今もどこかで自分の人生を一生懸命生きていてほしいと願っています。
(もしかしたらツイッターのどこかの世界に今いるのかもしれませんね☆)
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おわりでーす(三四郎・小宮)
余談ですが、今回の話のパワプロの個人攻略サイトの掲示板で特に仲良くなった方で、「ライカ」さんという方がいました。
その方は当時大学生で、就職したら真剣に結婚を考えている恋人がいるということも話されていました。
音楽が本当に好きな方で、BUMP OF CHICKENのアルバムである「FLAME VEIN+1」の隠しトラック「DANNY」の再生方法を教えてくれたり、レミオロメンの屈指の名盤である「ether[エーテル]」をオススメしてくれたのもこの掲示板で仲良くなったライカさんからでした。
あれから15年以上が経過しましたが、ライカさんも今はその当時の恋人と結婚して家庭を築き、人の親になっているのでしょうか。
もしそうであったら、子供を寝かすときの子守唄にBUMP OF CHICKENの「睡眠時間」や、レミオロメンの「海のバラッド」を唄っている夜があってほしいと思います。